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すかしぼりにじゅうたいきょう
透彫二重体鏡(伝河南省洛陽金村出土)

直径10.5㎝
春秋後期~戦国前期

透彫二重体鏡は、別々に鋳造した鏡背側と鏡面側の銅板を組み合わせて「二重体」にした透彫風の鏡です。

鏡背には三体の龍が半肉彫りにあらわされています。龍は二本の前足で鏡の鈕(ちゅう)と縁を、右後足で自らの右前足をつかみ、左後足を縁から出る雲気にのせます。龍の頭部にも雲気状の角があらわされ、口からも舌を出すように雲気を吐きます。
強調された雲気は天(宇宙)の象徴であり、三体の神龍が天を巡行する様をあらわしていると考えられます。

周縁に見られる4つの丸はリベットのようですが、見せかけで、鏡面側の銅板には貫通していません。銅板裏がわに繊維(織物)の付着した箇所が認められることから、鏡背と鏡面の隙間に絹などをかませ、はまりを強固にしたと考えられます。

背面が全体に黒ずむのは彩色の下地として漆が塗られているためで、本来は全体が赤や緑に彩られていたようです。ただし、膠などの接着剤のうえに真新しい彩色が施された箇所については、後世の手が加わっていると判断します。

本鏡には1928年に盗掘された河南省の洛陽金村古墓から出土したとの伝承がありますが、類例は湖南省長沙の楚墓から出土しており、楚の漆器生産との技術的関係からも楚の鏡であると考えています。春秋戦国時代の楚・洛陽間の交流を探る手がかりとして再注目すべきでしょう。
(石谷)
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