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ごさくがんもんたいどうこうしきしんじょうきょう

「吾作」画紋帯同向式神獣鏡(伝三重県神前山古墳出土)


面径20.3㎝

中国南北朝時代(5~6世紀)


円形の青銅鏡で、鏡面(姿を映す面)の裏側に古代中国の神仙世界をあらわしています。


鏡の外周に「画紋帯(がもんたい)」と呼ばれる紋様帯があり、龍が曳く車に乗る太乙(たいいつ)、日神・月神などの神様がいます。これは天の運行をあらわしているようです。


一段下がった位置には、半円形と四角形が交互に並ぶ紋様帯があります。四角形のなかには「吾明鏡を作るに・・・」とはじまる銘文を四文字ずつ施し、「子孫蕃昌」「立(位)至公卿」など、子孫繁栄や立身出世を願う吉祥句を並べます。


中央にひもを通す鈕があり、その上に伯牙(はくが)、下に黄帝、左右には東王父と西王母が龍と虎の台座に座ります。東王父と西王母は陰陽を象徴し、琴の名手として知られる伯牙が調和する役割を担っています。黄帝には凶を除く働きが期待されています。


鏡では鈕を中心とする図像配置が多いですが、この鏡では神仙が同じ向きに並ぶ「同向式」と呼ばれる配置を採用しています。


古代の鏡は鋳型を用いてつくられるため、「同型鏡」と呼ばれる同じ紋様の鏡が複数存在することがあり、この鏡にも30面近くの同型鏡が知られています。そのなかには、「ワカタケル」銘の大刀で有名な熊本県江田船山古墳から出土した鏡も含まれます。


雄略天皇など倭の五王の時代に中国南朝の宋からもたらされ、日本各地の有力者に配布された鏡と考えられます。

(馬渕)


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