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第81回展観 
インドの染織
−更紗を中心として−

会 期 | 1998年4月25日(土)~5月10日(日)

展覧会概要

 インドの染織の歴史は非常に古く、また多様である。各民族の伝統を守る手織木綿から、華やかな絹の宮廷衣装まで、地域・民族・宗教の多様性を背景として、様々な染織品が生み出されてきた。
 紀元前3500−2500年ごろに栄えたインダス文明において、既に羊毛や木綿を紡いだ織物の製作、さらに茜染が行われていたことが確認されている。続いて絹・麻の生産も始まり、技術的にも織の様々な技法、絞染、手描きや木版による文様染(更紗)、絣(かすり)、刺繍、アップリケなど、早くから染織のほぼ全ての分野が網羅されて発達したと言っても過言ではない。
 インドの染織品はまた、早くから東西の国々へ輸出されたことでも知られる。紀元1世紀ごろのローマの輸入記録には、ガンジス川流域で作られる上質な綿モスリンや西海岸産の木綿の記載が見られる。東南アジアにおいても、更紗・パトラ(絣)などの染織品が古くから輸入されていたの考えられる。特に17
世紀以降の大航海時代には、インドの染織品はヨーロッパ人の手で東西の各地へ運ばれた。インド更紗、モスリン、カシミヤ、ショールなどはヨーロッパで次々とブームを巻き起こした。日本にも桃山時代の南蛮貿易、江戸時代の長崎貿易を通じ、数多くのインド更紗がもたらされ珍重された。
 今回の展示では、多岐にわたるインドの染織品を織・刺繍・絣・絞・更紗と分野ごとにまとめ、多様な染織文化の紹介を試みたい。中でも、古くから各国に輸出され、日本にも多くもたらされた更紗を取り上げ、その高度な技法と、世界に展開した染織品の交易の姿に迫りたい。
 終わりに本展観の開催にあたり、貴重な作品をご出品いただいた関係各位に厚く御礼申し上げる次第である。

展示目録(パンフレット)

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