「廿六年」詔版

 にじゅうろくねんしょうばん
「廿六年」詔版

高9.0cm、幅7.4cm

前221年、天下を統一した始皇帝は、諸国でまちまちだった長さ、容量、重さの基準を一つに定めました。本品はこの度量衡の統一を命じた詔を記録した銅板で、同様の銘文を記した権(おもり)や升(ます)を複数作り、これを各地に配布することで計量単位の基準としました。

上部には馬蹄形の突起があり(本品は破損)、標準器に吊り下げて用いたと考えられます。実際に、甘粛省秦安県の秦墓からは、頂部のつまみに詔版をひっかけた状態の鉄権が出土しています。
ほかには四隅に小孔をもつものもあり、木製の升に釘で固定したと考えられています。

銹や後世のクリーニングのため不明瞭ですが、詔の文字は彫り付けたのではなく、鋳造により表しています。

裏面は左右反転した「丞」「綰」などの大字があり、版の外へ続いています。大きな版を作るための鋳型を切り分けて転用したためと言われていますが、文字の凹みが浅く、これで文字を鋳出せたのか疑問も残ります。

銘文は秦の丞相であった李斯らによって定められた公式書体「小篆」で書かれています。ただし、現在知られている権量銘のなかには、隷書のようなものや、筆画を省略したものも存在し、ほかの書体から影響を受けて、次第に崩れていったと想定されています。本品はそのなかでも比較的古様な書風を保つ作例といえます。

権量銘は秦の制度だけでなく、当時の文字を知る重要な実物資料として、書道史でも拓本が頻繁に紹介されています。
 
(馬渕)

釈文
「廿六年、皇帝は盡く天下の諸侯を并せ兼ね、黔首を大いに安んじ、號を立てて皇帝と為りて、乃ち丞相の(隗)状・(王)綰に詔した。法度量一ならず、歉疑する者あり。皆明らかにして之を一にせよ、と」


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