卜骨

「丁酉」卜骨

殷後期 
現長14.3cm、幅10.3cm


殷墟からは占いに用いられた亀甲・獣骨(卜骨)が多数発見されており、これらに刻まれた甲骨文字から、殷王朝が国家的に占卜を行い、その記録を遺したことがわかります。

占いの方法は、まず裏面に丸く浅い凹み(鑽・サン)と、それに接するアーモンド形の深い凹み(鑿・サク)を彫ります。その後、鑽を熱すると表面に「卜」字形のひび割れができ、このかたちをもとにして吉凶を占いました。

本品の表面には、「賓」という貞人(占いの担当者)の集団がまず「丁酉」の日に占い、続けて二日後の「己亥」、翌日の「庚子」、6日後の「丙午」の日にも占い、「小吉」などの結果を得たと記録しています。現存部の左下にも文が続いていたと考えられます。

甲骨文字は現存する最古の漢字であり、中国における文字の原点を知るうえで最も重要な資料群といえます。ただし、硬質な素材に小刀で刻む特殊性を帯びた資料であり、青銅器に鋳込まれた金文や筆で書かれた簡牘文字とは異なり、線は細く直線的な書風となります。全部で3000字ほどあり、すでに高度な文字体系を備えていることから、これに先行する文字があったと考えられています。

中華民国の研究者である董作賓によって5期に区分されており、本品は第1期の武丁の治世に当たります。この分類では各期の文字の特徴も示されており、第1期は「雄偉」で大字の堂々とした書風とされています。

(馬渕・飛田)
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