河野春明 日本橋元旦富士図鐔
こうのはるあき にほんばしがんたんふじずつば
河野春明 日本橋元旦富士図鐔
銘 春明法眼(花押)
5.5×4.6㎝ 厚さ0.6㎝
江戸時代(19世紀)
下ぶくれの撫角形に作った四分一(朧銀)製の小さな鐔で、表面に江戸日本橋の欄干越しに見た富士山、裏面に吊り下げたアンコウと「元日や塵ひとつなき日本橋」の句を表します。
漢字は整った楷書で、仮名も「ひ(飛)」「つ(川)」「な(那)」を除いては、現代の私たちと同じ書体を用いています。
擬宝珠に注連飾りが巻かれることから元日の風景とわかり、雲気の向こうに見える富士には金の瑞雲がかかっています。
周囲を彫り下げる鋤出彫りによって浅い浮彫とした遠景の富士に対して、近景の欄干を高彫とすることで遠近感を表出しています。
擬宝珠と欄干の金具を赤銅、鋲を金、注連飾りを金・銀で象嵌し、欄干には木目を毛彫りするなど、細部まで手が込んでいます。
裏面のアンコウは平坦な下地を彫り込んで凹凸をつけ、細かく鎚目を打って表皮の質感を表現しています。
眼と頭の突起には金、歯には銀を象嵌しており、表面同様の細緻さを見せています。
拵に装着したときには、アンコウの一部が柄(縁)によって隠れてしまうように配置されています。
「吊るし切り」とよばれる独特の手法でさばかれるアンコウは、江戸時代にも関東地方を中心に鍋物やアンコウ汁として食べられ、冬の季語にもなっています。
裏面の句は表面の図案を詠んだもので、同じ画面におさまるアンコウとは直接にはつながりません。
冬の題材として関連を持ちながら、あえて少しずらした図案とするところが妙味となっています。
作者の河野春明(1787~1857)は柳川派に学びながらもその枠にとらわれず、江戸の風情を作品に表して活躍した名工です。
本作でも俳諧が持つ視覚イメージをそのまま表現するのにとどまらず、より広がりのある季節感を感じさせることに成功しています。
漢字は整った楷書で、仮名も「ひ(飛)」「つ(川)」「な(那)」を除いては、現代の私たちと同じ書体を用いています。
擬宝珠に注連飾りが巻かれることから元日の風景とわかり、雲気の向こうに見える富士には金の瑞雲がかかっています。
周囲を彫り下げる鋤出彫りによって浅い浮彫とした遠景の富士に対して、近景の欄干を高彫とすることで遠近感を表出しています。
擬宝珠と欄干の金具を赤銅、鋲を金、注連飾りを金・銀で象嵌し、欄干には木目を毛彫りするなど、細部まで手が込んでいます。
裏面のアンコウは平坦な下地を彫り込んで凹凸をつけ、細かく鎚目を打って表皮の質感を表現しています。
眼と頭の突起には金、歯には銀を象嵌しており、表面同様の細緻さを見せています。
拵に装着したときには、アンコウの一部が柄(縁)によって隠れてしまうように配置されています。
「吊るし切り」とよばれる独特の手法でさばかれるアンコウは、江戸時代にも関東地方を中心に鍋物やアンコウ汁として食べられ、冬の季語にもなっています。
裏面の句は表面の図案を詠んだもので、同じ画面におさまるアンコウとは直接にはつながりません。
冬の題材として関連を持ちながら、あえて少しずらした図案とするところが妙味となっています。
作者の河野春明(1787~1857)は柳川派に学びながらもその枠にとらわれず、江戸の風情を作品に表して活躍した名工です。
本作でも俳諧が持つ視覚イメージをそのまま表現するのにとどまらず、より広がりのある季節感を感じさせることに成功しています。
(川見)


