短刀 銘 来國俊
たんとう めい らいくにとし
短刀 銘 来国俊
刃長25.9㎝ 重174g
鎌倉時代(13~14世紀)
わずかに内反りする平造、三つ棟の短刀で、よく詰んだ小板目肌には、こまかな粒状の地沸がついています。
刃文は中直刃を基本としながら、手元に近い部分で小乱れを交えています。
匂口(刃と地の境)はひきしまってみえ、「砂流し」がわずかにかかります。
鎌倉時代後期の京都で活躍した来派の刀工・来国俊の作です。
刀身に入れた掻流しの樋は、表に三鈷柄剣、裏に独鈷杵の形を浮彫状に彫りのこし、それぞれ先に「カーン」「ウン」という梵字(種子)を刻みます。
三鈷柄剣と「カーン」が不動明王を表すのに対して、独鈷杵と「ウン」は現状ではひとつの神仏に断定するのが困難ですが、いずれも悪をしずめるための忿怒尊を示すと考えられます。
『埋忠銘鑑』には本刀と思われる表裏の部分図が掲載され、「本三郎兵衛殿より参候」の注記から、刀剣鑑定を行う本阿弥家の当主を通じて埋忠家に持ち込まれたことがわかります。
記録の前後関係から、時期は寛永11年(1634)10月から同14年(1637)11月の間とみられますが、具体的にどのような細工が行われたのかは記されていません。
茎はわずかに磨上げられており、現在の目釘孔2つのほかに、銅や鉛のような金属で埋めた痕跡があり、何度か開け直したことが窺えます。
磨上げや目釘孔の開け直し、金具の制作などが行われた可能性があるでしょう。
付属する拵は、目貫と小柄に三つ葵紋をあしらった「黒蠟色塗合口拵」と、鞘に螺鈿で杏葉文を配した「金沃懸地塗合口拵」の二種類があります。
詳しい伝来はわかっていませんが、鎺にも三つ葵紋が入っていることから、ある時期に徳川家の所蔵であったとみられます。
(川見)


